ホノルルマラソンに初参加!
マラソンというものに初挑戦です。
朝5時、花火とともに元気にスタート。
しかしペース配分が分からず適当に走っていたせいか30km付近では走るどころか歩くこともままならない状態となりました。
気力も体力も尽き果てた、とはまさにこのこと。
その時、後方から
「さあ、みんな元気出して!」
というやけに明るく元気のいい日本語が聞こえました。
その声の主はあの高橋尚子さん。
そうです、シドニーオリンピック・マラソン女子金メダリストの高橋尚子さんです。
「私と一緒に走りましょう!グループで走ると楽ですよ!」
歩いていた何人かが彼女の後を走り出しました。
私も疲れているにもかかわらずその明るい声に乗せられ、うっかりグループに入り走り出してしまいました。
そのペースは意外と速いにもかかわらず、気が付けば10人ほどのグループとなり、高橋さんを先頭にして歩いている人達をどんどん抜かして進んでいきます。
「前は見ない、見るのは前の人の足だけ!、前を見ると転びますよ!」
「30kmも走ったんだから足が動かないのは当たり前、そういう時はしっかり手を振ろう、足が自然とついてきますよ!」
「みんな、えらいよ!すごいよ!がんばってるよ!」
などなど、彼女の声が魔法のようにみんなの体に力を与え、さっきまで歩いていたとは思えないほど力強く走る集団に変身しました。
私の体の痛みもどこへやら、不思議と走れるのです。
途中、集団の一人の女性が
「ちょ、ちょっとペース速すぎませんか?」
と弱音を吐くと
「これくらい普通、普通!」
と明るく受け流す金メダリスト。
集団の一人の男性が、走りながら携帯電話を取り出しました。
きっと金メダリストの写真を撮ろうとしたのでしょう。
するとすかさず
「走りながら携帯電話をいじるのは危険ですよ」
と高橋さんの厳しい声が響き、彼は携帯電話をしまっていました。
さっきまで10人くらいと思われた走る集団は20人くらいにまで膨れ上がっていました。
脱落する人もいれば、参加する人もいる、これを繰り返しながらも走る集団は徐々に大きくなっているようです。
彼女は走りながら我々を励ましアドバイスを与え、時には笑いを取り盛り上げてくれます。
その彼女の息はまったく乱れておらず、本当にみんなで走ることを楽しんでいるようでした。
運動能力のみならず、人間的にも素晴らしい人だなぁ~と感動しました。
「みんな、ちゃんとついて来てね、1メートルも遅れちゃだめよ、その1メートルが命取りよ!」
その声に笑いが起きましたが、私は絶対に遅れないようにしようと改めて思いました。
そして給水所が見えました。
「みんな、給水所ですよ、水を取ったらすぐに戻ってきてね。すぐにですよ!」
私も水をもらおうと給水所に行きましたが、混んでいてすぐに水がもらえず、もたもたしてしまいました。
給水を取らずに走り続けていく高橋さんの後ろ姿がどんどん遠くに。。。
「えーい、水などいらん!」
あせった私は給水をあきらめ、集団に向かって走り始めました。
が、疲れた足がもつれて追いつけません。
「1メートルが命取り」という彼女の声を思い出し、20メートルは絶望的だなとあきらめ、歩き始めてしまいました。
私はなんて弱い人間なのでしょう。
再び全身に痛みがよみがえりました。
しかも以前よりも大きな痛みが。
「ひどいよ金メダリスト、給水取れって言ったのに、自分はそのまま走り続けるなんて。。。」
しかし彼女がいなければ私はあのままゴールまで何となく歩き続けていたかもしれません。
高橋さんと一緒に走れたのはたぶんほんの数キロだと思います。
その数キロが私にとってはとても充実した楽しい時間であり、今回のホノルルマラソン参加の素晴らしい想い出となりました。
ありがとう、高橋さん!金メダリスト万歳!
ハワイ太郎
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